最近、人の命について考えずにはいられない出来事がありました。
人の命なんて簡単に無くなってしまうんだな、と実感すると共に、
それでも私の体験談で少しでも命について呼びかけることができれば、と願います。
実は私はうつ病体験者です。
と言っても、正式な診断を受けたわけではないのですが、
いつでも寝られるような私が当時は寝られない、食べられない。
常に絶望感に打ちひしがれて、笑うことはもちろん、不安以外の一切の感情が無くなってしまったような状態でした。
自分の外見を気にするようなゆとりもなければ、音楽を聴くことも一切できませんでした。
後から考えると間違いなくうつ病だったな、と思う状態が8ヵ月ほど続きました。
正直、それまでも色んな難局に直面してきたので、
私にとってうつ病なんて起こりえないことだと思っていました。
うつ病は精神的にもろい人がなるもの、という思い込みが無意識にあり、
私自身はそれまでの経験から人並み以上のピンチを乗り越えてきた自負がありました。
でも、その思い込みは間違いでした。
もちろん、真面目な人や、責任感の強い人、問題を抱え込むタイプの人、人に気を使いがちな人など、うつになりやすい性格の傾向はあるようですが、
誰にでも起こりうる病気なのだ、ということを後で知りました。
自分が体験してみると、あの時期のことは人生最大のピンチ、
それこそいつ命を絶ってもおかしくないような状況だったと思います。
リサーチによると、女性では5人に1人、男性では10人に1人の割合でうつ病を経験するそうです。
そのメカニズムはまだ解明されていない部分が多いようですが、
脳の中の化学物質が何らかの理由で上手く作動しなくなりうつ病を引き起こすと考えられているそうです。
生活の大きな変化、ホルモンの変調や大きなストレスといったことが引き金になることが多いらしいですが、
実際的な例を取ると、親しい間柄の人間やペットとの別れ、失業、病気、妊娠、人間関係のこじれや薬物等の依存などがあるようです。
私の場合は、妊娠中の失業が引き金になりました。
当時の私は職場での人間関係に悩み、色々な事情が重なって退職することになりました。
そこで襲ってきたのは経済的な懸念と人間不信、自己不信。
我が家は共働きで家計を支えていたため、私の収入が無くなることは家計の赤字に直結。
ましてや妊娠中の身では、新しい仕事を見つけることも難しく、
生まれてくる子供を養っていけるのかという不安、
出産までにかかる医療費への不安に飲み込まれました。
スーパーに買い物に行くことですら恐怖の対象になりました。
そして、家族に対する罪悪感で押しつぶされそうでした。
実はこの経済的な不安は、うつ病患者の多くが経験するのだそうです。
例えば一家の大黒柱の男性がうつ病で働けなくなった時、経済的な恐怖と自分を責める気持ちが出やすいと聞きましたが、不思議ではないなと思います。
この期間の私は、溺れかけた状態で必死でもがいてなんとか呼吸をしているような精神状態でした。
目を覚ますとまず口をついて出る言葉が”助けて”でした。
とにかく自分の置かれた状況から逃げ出したく、一線を越えることが幾度となく頭をよぎりました。
何とか思いとどまることができたのは、家族(特に息子)への影響に考えが及んだからです。
私は妊娠中から出産後までの期間をこんな精神状態で過ごしました。
幸い子供は無事に生まれてくれましたが、出産直前の私の体重は妊娠前とほとんど変わらないという異常事態。
担当のお医者さんには、子供が普通に生まれてきたことに驚きと安堵があったと言われました。
幸い私には立ち直るきっかけとなる、家族や友人のサポート、言葉や文章がありました。
友人達の文章からは、それぞれ色々な問題に直面して何とか乗り越えようとしているのが伝わってきて、苦しい経験を乗り越えてきた人の言葉からにじみ出る重みを感じました。
私の体験もいつか文章にしたら誰かの力になれることもあるのかもしれない、とふと思ったことをきっかけに徐々に立ち直ることができました。
今では、体重も完全にリバウンドし💦げらげら笑ったり、好きな音楽を聴きながら過ごす毎日が戻ってきました。
もし、いまうつ状態で苦しい思いをしている人がいるなら、
専門家や周囲の人に協力を求めてほしいと思います。
自分一人で抱え込むことで、どんどん追い詰められていくことを知ってください。
そして、解決する方法がきっとあると信じて、生きることにしがみついてほしいと思います。
そして、周りにうつ状態かもと思う人がいる場合は、声をかけてその人の状態を確認してあげてください。
自分がうつ状態にあることに気づかない人も多いそうなので、
周りの人のサポートが鍵になります。
うつ状態に苦しむ人が少しでも減ってくれればいいな、と思います。
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